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【 第 七 話 】 |
丑三つ時。 通りに人の姿はまったくない。 だが、そんなシンと静まり返った町通りに、まるで人目を忍ぶかのように、急ぎ足で通りを駆ける二つの足音。 更 月 姫と更 月 姫を護衛している颯 樹の足音だ。 彼女達2人が向かっているのは、「夕鶴」と言う店。 表向きは、普通の宿屋。 だが夜中になるとその本性を現すかのように、裏口が開く。 本来はこちらの稼業が本業。 普通の宿ではなく、『出会い茶屋』または『夜逃げ茶屋』。 愛し合ってはいけない者同士が、唯一の安息地の地を求めて、この場所に来る。 ある者は、一夜の契りを交わし。 ある者は、全てを捨て別人になりすまして、街から密かに逃げ出す。 そんな場所。 颯 樹は辺りを警戒するように見つめると、誰も人の気配がない事を確かめてから、裏口をそっと開いて、更 月 姫を中へと入れた。 続いて、颯 樹も中に入る。 中に入れば、人の良さそうな主人が、笑顔で更 月 姫と颯 樹の事を迎え入れてくれた。 「これはこれは、毎度、ご贔屓に。ささ、お相手はすでにいらしゃってますよ。」 「はい。」 更 月 姫は、颯 樹に視線を配ると、颯 樹は静かにうなずいた。 ゆっくりと主人の案内する二階へと上がっていく。 一番奥の部屋に着くと、主人は障子の前で膝をついた。 「お客様、待ち人がいらっしゃいました。開けてよろしゅうございますか?」 「ええよ、早よ入って。」 主人は何度も頭を下げて、障子を開けた。 そこには2人の男の姿。 2人とも竹 千 隊の羽織を着ており、1人は道具箱に寄りかかるように座っている。 もう1人は、窓辺に座って煙管を口に咥えて、静かに白い煙を揺らめかしている、本来ならばこんな場所に来るような方でない、高貴な方。 その妖艶とも言える2人の美男子。 更 月 姫と颯 樹は部屋の中に入ると、主人は部屋には入らずにその場で頭を下げ続けていた。 「では、いつものように一階にも一部屋ご用意致しましたので。ごゆるりと。」 丁寧に頭を下げていくと主人はそのまま、一階へと下りて行った。 その足跡を聞き終えて、颯 樹は静かに障子を閉めた。 少し狭い部屋で、4人でいるのは居心地が良いと言うわけではない。 颯 樹は、更 月 姫の後ろに控えるように、頭を下げた。 「お供ご苦労様、颯 樹チャン。」 「いえ。」 一番近くで、着流しの上から竹 千 隊の羽織を腕を通さずに肩からかけているのは、日 向。 そして、奥で煙管を燻らしているのが、竹 千 隊が守るべき相手。 この国の次期皇帝候補の皇太子ご本人だ。 素性を隠すために、わざと竹 千 隊の羽織を着込み、皇太子だと言うことを茶屋の主人には隠していた。 「ほな、皇太子殿下。やっと更 月チャンが到着されはったから、ゆっくりと楽しんで下さい。僕達は下の部屋に行こか?」 日 向は立ち上がり、颯 樹に手を差し伸べた。 そう言われて、颯 樹はふと更 月 姫の顔を見上げた。 どこが憂い顔をしている更 月 姫に、本当に密かに愛し合って通っているのか、不思議に思っていた。 どうも、更 月 姫が皇帝に謁見した時に一目惚れをしたそうなのだが・・・。 それから何度か密者が現れて、更 月 姫を口説きまくった皇太子。 だがその身分故、まさか宮殿に寄こすわけにも行かず、日 向の提案でこういった場所で月に数回会う事になっていた。 恐ろしい程の美しい顔立ちをしている皇太子。 まるで女形のような、その立ち居振る舞い。 妖艶な笑み。 だが、まったく隙がない。 颯 樹が唯一、震えを覚える相手だ。 更 月 姫は、一度だけ頷くと颯 樹は頭を下げて、立ち上がった。 「颯 樹。」 皇太子の特有の柔らかな旋律な声。 本当に役者のようなその滑らかな声に、颯 樹は一瞬震えた。 まるで、何かの呪縛にでもかかったかのように、ゆっくりと皇太子を振り返った。 「更を連れて来てくれて、感謝するね。余と更の関係を唯一知り、理解してくれてる君だから、本当にお礼の言いようがない。」 「いえ。これも仕事の内ですから。」 「そっか。じゃ、『その仕事の内』で満の相手もよろしくね。」 白く細い手。 まるで人の手ではないかのように、透き通るように白い手が、妙に颯 樹の脳裏に酷く鮮明に浮き上がる。 優雅に手を振るその仕草に、颯 樹は頭を下げて障子を閉めた。 階段の所で颯 樹を待っていた日 向は、何も言わずに一階へと下りて行った。 これまた一階の一番奥の部屋。 真上には皇太子と更 月 姫がいる。 中に入ると、一つの布団が敷かれ、灯籠の明かりが嫌らしく枕元だけを照らしていた。 日 向はそのまま布団の上に、あぐらを掻いて座ると、颯 樹は布団には乗らずに、障子の近くに正座した。 「皇太子のわがままにも困ったもんやねぇ。」 「相変わらず、皇太子は宮女をなんだと思っているのかしらね。」 宮女と言っても、軍部に属している颯 樹には、ほとんど宮殿にあがる事などないのだが。 でも宮殿に仕えている一役人としては、宮女と言っても過言ではない。 颯 樹は、嫌そうにため息を着いた。 「颯 樹チャン、今日はどれで遊ぶ?」 バラバラと懐から出て来たのは、おもちゃの数々。 よくもこんなに入っていたものだ。 颯 樹は自分の足下に転がって来た花札を手に取った。 「よっしゃ。なら、久しぶりに勝負しよか?」 「賭け事は禁止よ。」 「別にええやん。皇太子自らが、こんな禁忌破りまくってんやから。ボク達のなんかえろう可愛いもんやろ?」 「それでも、普通に遊ぶだけ。」 「しゃーないなぁ。」 日 向の承諾に、颯 樹は同じく布団の上に乗り、日 向と向き合った。 花札の束を日 向に渡せば、いつも通りのニッコリとした笑みで、札を切り始めた。 「そう言えば、颯 樹チャン、知ってる?」 「知らない。」 「まだ何も話してないやけど・・・。相変わらずやなぁ。」 颯 樹はプイと顔を逸らした。 日 向の手さばきは手慣れたもので、手札を7枚配り、場札を6枚作った。 残りは山札として伏せた。 「花合わせ?」 「せや。後で、『こいこい』と『六百間』もやろな?どうせ、夜は長いんやし。」 「うん。」 颯 樹は、刀を自分の脇へと置いた。 刀を置く場所はあるのだが、あえて2人とも、自分の身体に近い位置に置いていた。 颯 樹が手札を取ると、日 向からゲームはスタートした。 「何を知ってるって言うのよ。」 「この間、宮殿内の弾薬庫から大量の火薬が盗まれたんや。」 「は?なんでそんな重要な話し、私達の所まで回って来ないのよ。」 「そら、宮殿内の警備は、月桃隊や松寿隊のお仕事やからなぁ。まぁ、僕らも人手不足とか言われて、狩り出されたんやけど。」 淡々と札を切る日 向と颯 樹。 まるで色気のない物だ。 だが、互いに花札に夢中になっているように見せかけて、そんな話しをしていた。 まるで人をはばかるように、小さな声での会話。 颯 樹は、場札と手札を会わせて、自分の脇へと置いた。 「盗まれたって、どれくらい?」 「せやなぁ、大筒10本分くらいやろか?」 さすがに颯 樹は顔を上げて、日 向の事を見た。 日 向はニィーっと笑みを浮かべて颯 樹に顔を近づけた。 「ほんでな、おもろい事になってるんよ。何故か、そこに更 月 姫の姿が目撃されてるって言う、奇っ怪な話し。」 「あり得ない。」 「なんで?夜なんか、分からないやん。颯 樹チャンが部屋に戻った後に、更 月 姫が出て行ったら、わからへんやろ?」 「絶対にない。」 あり得ない。 同じ部屋に寝泊まりしているのだ。 九 条の計らいで、二部屋もらい一つは颯 樹の仕事部屋。 もう一つは、寝室兼更 月 姫の部屋になっている。 更 月 姫が部屋を出るには、必ず颯 樹の部屋を通らないと行けない。 しかも仕事中は、襖を開けているから、更 月 姫の寝顔を確認しながら仕事をしている。 あり得ないのだ、絶対に。 「まぁ、僕もまさか…とは思ってるんやけど。」 「もっとちゃんと調べなさいよ。怠慢よ、怠慢。」 「まぁでも、颯 樹チャンがそこまで否定するって事は…同じ部屋にでも寝泊まりしてるみたいな感じやね。」 「雪 桜 隊内の事、日 向さんに言う必要ないでしょ。尋問は無駄よ。」 手は休まずに動いたままの2人。 日 向は参ったと言うように、颯 樹に近づけていた顔を遠ざけた。 ポリポリと頭を掻いて「こりゃ参った。」と呟く。 何が参ったのか・・・颯 樹は、胡散臭そうに目を細めて日 向の事を見た。 「なんですのん?その目。」 「日 向さんがその行動する時って、決まって勝ち星が見えた時だから。」 「そないな事、まだわかりませんやん。」 ドタンと天井から大きな音が聞こえた。 何かが倒れたのだろうか? 颯 樹と日 向は同時に上を見上げた。 「皇太子サン、随分と激しいなぁ。」 「何かが倒れたんじゃないの?」 「それにしても、激しいってことやないの。ほんま、あの人の性欲は尽きることを知らないみたいやね。」 日 向の言葉は、皇太子の常日頃の行動を語っているようで。 颯 樹は呆れたように再び天井を見上げた。 ガタガタと、音がまだ鳴っている。 何か変だ。 まるで逃げてる人間を追い詰めているような音。 颯 樹は刀を手に持ち替えて、立ち上がろうとした。 だが、それは日 向の手によって止められた。 「今いったら、その場で僕に処断されるから、やめときぃ。」 「だって、明らかに音がおかしいじゃない!!」 「睦言の音に随分と詳しいなぁ。」 日 向の何かを探るような目つきに、颯 樹は視線を逸らした。 逸らしてしまえば負けなのに。 反射的に逸らしてしまった。 日 向は、細めていた目つきを開き、まるで獲物を狩る前の飢えた獣のような目で颯 樹の事を見つめた。 「大 和大将さんや、九 条副将さんには、話したん?」 「・・・。」 「そら、あかんわ。もう名前を戻してもろても、意味がありませんって、ちゃんと言うてやらな。裏切り行為になるのと違ゃいますか?」 「そんな事にはならない。蒼仁は知らないけど、九 条さんは知ってる。」 意外な名前に、日 向は片眉を上げた。 大 和が知ってるならいざ知らず、なんで部下の九 条の方が知っているのか。 颯 樹は、今にも殺しそうな目で日 向の事を睨み付けた。 「捨てられた私を拾った最初の人が、九 条和 臣だからよ!!!」 「ああ、それで。花街から抜け出せたんや。どうやって足抜けしたんか、不思議に思ってたんやけど。なるほどなぁ。」 颯 樹は怒りと羞恥に全身をふるわせていた。 全ての現況。 全ての根源。 それが、目の前にいる男と上にいる男の仕業。 刀に手がいきそうなのを、必死の思いで颯 樹は止めた。 ここで争い事を起こしても意味がない。 だが、颯 樹の睨みはずっと日 向を捕らえて離さなかった。 「僕の女になっとたら、あんな所に売られるような事、なかったんに。」 「誰が、あんたの女になんか…!!」 「でも良かったやん。客を仰山取る前に、助けてもろて。九 条さんの花街遊びに感謝せなあかんな?…でも、雪 桜 隊のみなさんは知ってはるんですか?その事。」 知るはずがない。 大 和が見つけて連れてきた事になっているのだ。 大 和が皇帝に颯 樹を紹介して、軍部に入れた時。 皇太子が、自分の軍に欲しいと切望した。 皇太子が望めば、大 和がなんと言っても決定してしまう。 だからこそ、颯 樹は最初から雪 桜 隊に入ったのではなく、竹 千 隊に入らざる終えなかったのだ。 そして、日 向の部下としてまるで奴婢のような扱いで、働かされた。 颯 樹が人を初めて斬ったのも、竹 千 隊に入ってからだった。 その秀でた武芸は、皇太子にも気に入られ、容赦のない殺戮命令が幾度となく下された。 竹 千 隊の仲間を、みんなの前で見せしめの為に殺した事もある。 一度や二度の話しではない。 少しでも皇太子の気に障るような事があれば、その場で処断される。 もっと酷いときには、仲間同士で殺し合いをさせて、それを余興として楽しむ。 そんな地獄のような部隊だった。 竹 千 隊で、颯 樹は思い出したくない過去が沢山ある。 だが・・・竹 千 隊を抜け出せたのも、日 向のおかげであることに間違いはない。 颯 樹の知ってる日 向。 竹 千 隊の日 向。 同じ日 向満だと言うのに、まるで別人。 性格まできっちりと、使い分けていたからこそ、颯 樹は余計に混乱したのかもしれない。 酷い折檻を受けた後は、必ずと言っていいほど日 向が現れた。 憎まれ口を叩きながらも、薬を持ってきたり、怪我の処置をしてくれたり。 だが、昼間は別人のように颯 樹に辛く当たっていた。 ある事件がきっかけで、颯 樹はなんとか大 和のいる雪 桜 隊に転属する事が出来たのだが。 それも死ぬか生きるかの瀬戸際のような状態での転属だった。 大 和と九 条が、どれほどの苦労をして颯 樹を雪 桜 隊に入れたのか。 決して話そうとしない二人からすれば、かなりの辛苦を飲まされたに違いない。 だからこそ、颯 樹は二人を裏切らない。 二人の望む事をする。 恩返しに。 ただ、それだけで、雪 桜 隊の暗殺部隊にも自分から候補してなった。 それが、竹 千 隊からの「間者」と言うレッテルを着けられるのを覚悟の上で。 そして、それを利用してくる輩もいると言うのも。 全て、あの日に覚悟して決めた事だった。 「日 向さん、一つだけ教えて。」 「質問によっては応えられへんよ。」 「私が花街に売られたその日から、なんで毎日通って来たの。」 怒りを静めたような颯 樹。 先程までの殺気だった視線は、元に戻りつつあった。 日 向は、ふと立ち上がり窓枠へと腰を降ろした。 何も言わずに、少しだけ障子を開ければ、そこには夜のとばりが降りた町通りが見えた。 昔を思う出すように、日 向は呟いた。 「僕が、阻止出来へんかったから。キミとの誓いを・・・。」 ゆっくりと日 向は颯 樹へと視線を向けた。 「破ってしもうたから。」 その視線は、今までのどの日 向とも違う。 颯 樹が本当に知っている日 向の目つきだった。 「満 月…。」 颯 樹から自然と零れた言葉に、日 向は優しい笑みを浮かべた。 「あの時の僕には、力がなかった。権力がなかったんや。だから、どうする事も出来へんかった。ただ、見てる事しか。でも、キミの身体に、他のえげつない男が触るのだけは、どうしても我慢できへんかった。」 ほうぼうで借金をこさえて、日 向は丸一日を買い占めた。 毎日、毎日。 颯 樹だけを買い占めた。 だが、金が沸いて出て来るわけでもない。 借金も貸してくれる場所がなくなって、買い占めが出来なくなったあの日。 せめて夜だけも花街に立ち寄った日 向だったが・・・すでに先客が現れていた。 その場で斬りに行こうと、店の者とまで揉めた程だ。 だが、颯 樹が了承してとった客だと聞いて、日 向の全身から力が抜けるような感覚に陥った。 小さな誓い一つ守れない自分が、可笑しくて、可笑しくて。 その日は、他の店の女を気絶させるまで抱き続けた。 まるでそこに全てを捨てるかのように、抱き続け・・・最期には、殺してしまった。 竹 千 隊と言うこともあって、店側からの訴えはなかった。 どうも大将である武 蔵が裏取引をしたらしいと言うことだけは、風の噂で耳に入った。 しばらく花街には近づけなかった。 怖くて、怖くて。 足が前に進まないなんて事、今まで一度もなかったのに。 かなりの月日が流れて、日 向が一番隊の隊長に任命された時、やっと手にした権力で、颯 樹が売られた花街へと足を向ける事が出来た。 だが、その時にはすでに颯 樹は、足抜けして行方知れずになっていた。 その日、一日中必死になって探した。 見つける事は出来ず、隊舎に戻ったら・・・皇太子が目の前に現れた。 そして次の日に、大 和大将に連れられた颯 樹を、目にしたのだった。 「でも、今は違う。金も権力もある。僕の誓いはな、いざよ…。」 日 向が最期まで言葉を口にしようとした時だった。 二階から降りてくる足音が聞こえて、日 向は口を噤み、入り口の方へと視線を流した。 颯 樹も同じように障子から横に少し離れて、無意識の内に背を壁の方へと向けた。 自分達の部屋に近づいてくる足音。 そして、入室の許可もなくスパーンと障子を開け放った。 「皇太子サン、お楽しみは終ったんやろか?」 「フン。興ざめだね。今日は引き上げる事にするよ、満。」 「はいな。」 日 向は立ち上がると、颯 樹の脇を通り過ぎた。 その時、颯 樹にしか聞こえない声で呟いた。 「『満 月』は、君にあげる。」 「!!」 颯 樹は驚いて、振り返った。 だが、もういつもの日 向に戻ってしまっていた。 綺麗にしていた髪型も、酷く乱れた更 月 姫がゆっくりと二階から降りてきた。 着崩した着物に、颯 樹は目を背けそうになった。 「大丈夫ですか?更 月 姫。」 「うん、平気。颯 樹ちゃんがいるもん。ねぇ、颯 樹ちゃん。颯 樹ちゃんって暗殺部隊に所属してるんでしょ?」 「部隊に所属と言うか、手伝いはしてます。」 「ねぇ!!だったら、あの皇太子を殺してよ!!!お願い!!私…私っ!!!」 更 月 姫はズルズルと颯 樹にすがるように足下に抱きつくと、床に倒れていった。 泣きながら、何度も「殺して」と。 颯 樹に訴えるように。 颯 樹は更 月 姫の事を抱きしめた。 どんな事をされてるのかは、知らない。 だが、お互いに愛し合っているとは言っていたのに。 どうして、もっと大切にしないのだろうか。 颯 樹は、優しく更 月 姫の背中を叩いた。 「更 月 姫様。」 「颯 樹ちゃん…颯 樹ちゃん…!!!」 更 月 姫の訴えが、しばらく続いた。 颯 樹はどうする事も出来ずに、ただ黙ってその言葉を聞く事しか出来なかった。 これじゃ、日 向さんの事を悪くは言えないな。 颯 樹は自嘲気味に笑みを浮かべた。 青白く光る月は、そんな二人にも平等に優しい光を照らしていた。 |
後書き ~ 言い訳 ~
ここまで読んでくださり
心より深くお礼申し上げます。
文章表現・誤字脱字などございましたら
深くお詫び申し上げます。
掲載日 2011.10.22
再掲載 2012.02.02
イリュジオン
※こちら記載されております内容は、全てフィクションです。