【 バ レ ン タ イ ン 企 画】 


久しぶりの非番。
颯 樹との非番が重なる事は、正月くらいしかあり得ない。
一部隊の隊長と副長が同じ日に非番になるほど、無責任な事はない。
だから、九 条は久しぶりの非番を利用して街へと繰り出していた。
隊服さえ着ていなければ、早々に雪 桜 隊の九 条和臣とバレる事も確立的には少なくなる。
だが、女が群がるような場所は御法度だ。
ものの数秒で、面が割れてしまう。
海軍である梅 観 隊が戻ってきた事で、交易品の市が立っていた。
それを、なんとなく眺めるのも面白い。
町民の自然な言葉に耳を傾ける絶好の機会でもある。
なんとなくブラブラと歩いていた九 条に、一つの簪が目に止まった。
桜の花がつき、ぶらぶらと三日月が連なっている。
見事な銀細工物だった。
九 条は、ふらりとその店に寄った。

「おや、だんな。何を差し上げましょう。」
「おい、これは?」
「さーっすがお目が高い。先程も海軍の和 泉大将様が、お手に取られて見てらした代物ですよ!」

言われた途端に、九 条は条件反射で簪から手を引いた。
良くみれば、沢山の簪、指輪、女の装飾品の店のようだ。
ふと、今頃自分の隊の指揮を代行でとっている颯 樹の事が頭に思い浮かんだ。

「装飾品…か。」

しばらく店の前で考えていた九 条は、そのまま何も買わずに店を去ろうとした。
その時、一組の女連中が妙な噂をしながら歩いていた。

「聞いた?おせっちゃんたら、なんでも「ばれんたいん」で匠の又吉さんと恋仲になったって。」
「「ばれんたいんでぃ」って奴で、好きな人に告白してもいい日なんて、なんて素敵な日なのかしら〜。」

ばれん、た、いん、でぇい?
九 条は、ふと書物で読んだ知識が頭をかすめた。
確か、西洋の文化だったはず。
甘い物と甘い言葉が一対になっている、行事だと書いてあったと記憶する。
九 条は、市から離れるとある一件のお店を目指して歩き出した。
そこは【甘味屋】と書かれている店。
大和さんのお気に入りで、よくここには出入りしている。
むろん、他の者達もここの菓子が一番美味しいと言って、団子やらおはぎやらと買って帰って来る。

「みんな?」

九 条は、店に入る手前で足を止めて、考えてしまった。
ふと雪 桜 隊の連中を思い出す。
九 条と颯 樹が晴れて恋仲になった時、一番に反対したのは、誰でもない雪 桜 隊の隊長格メンバー全員。
むろん、大 和さんも含む。
何かにつけては、二人だけの時間を邪魔したり、まともに話しすら出来ない。
それほどまでに雪 桜 隊は結束を深めていた。
それはある意味では、良い結果をもたらしてはいるのだが・・・。

「仕事でそれを発揮しろって言うんだよ!!!」

ついつい考えている事で、頭に血が上った九 条は、知らずに怒鳴り声を出してしまった。
無論、普通に歩いている町人もいるわけで。
何事かと、足を止めて九 条の事をみていた。
しかも遠巻きで。
九 条は、咳払いを一つすると、その甘味屋の前を通過した。
そもそも、その『ばれんたいんでぇ』・・・ってのは、いつなんだ?
たしか、今日は・・・初花月の壱拾四の日。
語呂合わせってわけでもねぇのか。
まぁ、颯 樹の奴が妙ちくりんな外国の行事を知るはずもないだろうし。
適当な言い訳でも作って、何か買って行くか。
どうやら、九 条の中で颯 樹へのお土産は決定事項のようだった。
まんじゅうやら甘い菓子は、大 助辺りがいつも差し入れている。
金平糖は、自分が好きだから・・・とか言う変な理由で、なくなりそうになると、瞬の奴が差し入れてる。
阿 波は、三色団子を好んで渡しているし。
紀 伊に至っては、渋めに昆布茶とか渡しているのを見た事がある。
胃に優しいとか言っていたな。
大 和さんは、お茶だったり、反物だったり、装飾品だったり、ムラがある。
ん?
相 模の野郎は、何を渡してやがるんだ?
雪 桜 隊一、女好きのはず。
(自分は除外してます)
あの相 模が何も渡さないなんて、あり得るのか?
だが、渡していた記憶も、颯 樹自身からも「相 模さんから頂きました」なんて嬉しそうな笑顔つきで報告が来たことがない。
なんだ?妙に気になる。
九 条はふと空を見上げた。

「今頃、呉服橋辺りの巡回中だな。」

九 条は、そのまま相 模に会うべく、呉服橋に向かう事にした。
どんどんと目的から外れて行っている事に、この時の九 条はまだ気付いてもいない。
案の定、橋の近くで相 模達が商人達と、談笑している姿が見えた。
聞き込みか?
九 条はそのまま相 模の前へと立った。

「よぉ、九 条さん。非番は満喫出来てるかい?」
「ああ、それなりな。それよりも、サガさんに、聞きてぇ事があるんだが。」

深刻そうな九 条の表情に、相 模は部下を先に行かせて自分だけ残った。
通りから少し離れた場所へと九 条と共に来た。

「なんか問題でもあったんか?」
「いや、まぁ問題と言えば問題なんだが・・・。サガさん、あんた颯 樹に何をあげてる?」「は?」
「平たく言やぁ、何を貢いでるのかって聞きてぇんだが。」

眉間に皺をよせて、何か深刻そうに悩んでいる表情の九 条。
よほどの事があったのかと、身構えていたのだが・・・問題は問題でも、ごくごく九 条の個人的な問題であった。
相 模はガックリと肩を落とした。

「んだよ、そんな事かよ。」
「そんな事とは言ってくれるじゃねぇか。」
「何勘ぐってんだか知らねぇけど、俺は伊 勢に物をあげた事は一切ないぜ。」

相 模の意外な答えに、九 条は面食らった顔をした。
そんな顔を見て、相 模は吹き出してしまった。
天下非情の九 条と恐れられている、雪 桜 隊に副将が、たった一人の女の為に悩み、そしてこの表情。
笑わずには居られなかった。

「何、もしかして伊 勢に何かやんのか?そりゃー喜ぶぜ。最近、一緒にいても話できねぇって悩んでいたからよ。」
「悩んで?・・・なんでお前がそんな事知ってるんだ。」
「俺は、伊 勢に物をやることはしねぇが、あいつの胸の内の痞えを取ってやる事はしてるな。話しも聞いてるしよ。」

意外な事で、九 条は開いた口がふさがらなかった。
颯 樹が相談するなら、一番年齢が近い大 助や瞬あたりだと思っていたのだ。
それが・・・この下半身から生まれましたみたいな男に、相談。
間違ってる。
環境が悪いんだ。そうに決まってる。
九 条の中で、すぐに隊舎の見取り図が展開され颯 樹の部屋、その他の隊士の部屋を思い浮かべた。

引っ越し決定だな。
「は?」
「いや、こちらの話しだ。時間取らせて悪かったな。」

九 条が背を向けて、その場を去ろうとした時相 模は呼び止めた。
相 模は九 条の事を見ずに、ただ欄干をぼんやりと見つめていた。

「物なんていらねぇと思うぜ、今の伊 勢には。あいつが一番欲しいのは・・・これ以上は俺の口から言わせるなよ。」

言うだけ言って相 模は、走って行ってしまった。
颯 樹が一番欲しがっている物。
そうか。
当初の甘い物と甘い告白にかける行事はすっかり頭からすり抜けていた。
今は、颯 樹に何が必要かと言う事だけに重点が置かれるようになっていた。
その事に、まだ九 条は気付いていない。







「今帰った。」

意気揚々と帰って来た九 条。
待っていた子犬のように、颯 樹が飛び出て来た。

「お帰りなさい、九 条さん!非番は楽しめましたか?」
「ああ。颯 樹、ちょっと俺の部屋に来い。今日の報告を聞きたい。」
「はい。」

颯 樹は慣れたように、九 条と別れるとそのまま厨房へと行き、お茶の準備をした。
そこには、先日阿波さんから頂いた胡桃餅を添えて。
甘い物が嫌いな九 条さんでも、胡桃餅はそんなに甘くないから。
ニコニコしながら、颯 樹は九 条の部屋の前へと行った。

「九 条さん、颯 樹です。」
「おう、入りな。」

膝をついて、静かに障子を開けると、九 条さんは少し楽な格好で出迎えた。
それがカッコ良くて、思わず赤面してしまうほど。
九 条さん・・・胸、開きすぎです。
そんな事を言える訳もなく、なるべく見ないように颯 樹は九 条へお茶を差し出した。

「あ−、美味い。颯 樹のお茶が一番だな。飲んで落ち着く。」
「ありがと。それで、今日の報告なんだけど。」

颯 樹が報告書を読み上げようとしたが、それは九 条の手によって遮られた。
何事かと、颯 樹が顔をあげると九 条は、チョイチョイと指で近くに来いと無言で指示した。
颯 樹は首を傾げながらも、とりあえず九 条の側まで行く。
すると、九 条が座っていた後ろから、油紙に包まれた長い物が目の前に置かれた。
どう見ても、長物。
刀だ。
非番の帰りに、また新しく九 条さんの刀を新調したのだろうか?
颯 樹は、油紙と九 条を交互に見つめた。

「開けて見ろ。」
「うん。」

言われて包み紙を開ければ・・・案の定、刀。
太さは中くらい。
甲 賀さんや大和さんが使用している刀に似ていた。
口火を切り、ゆっくりと鞘から刃を出すと。
ヒュイン…と業物特有の音が鳴った。
相当のものだ。
鞘から全部の切っ先をだして、灯籠の明かりに照らしてみた。
まるで鏡のように、磨き上げられた刃。
切っ先が、面白く、のこぎりの刃のようにギザギザとしていた。
颯 樹はその美しさに息を飲み込み、ゆっくりと鞘へと刀を戻した。

「凄い刀。切れ味、良さそう。」
「気に入ったか?」
「うん、こんな業物一度でいいから持ってみたいなぁ。私のは、あと一回折れたら、終わりだって鍛冶屋のおっちゃんに怒られたから。」

苦笑する颯 樹に、九 条はニヤリと笑みを浮かべた。
勝った・・・。
そう勝利の要因に浸っていた。
誰も、颯 樹に刀を渡していない。
すなわち自分だけの物だ。
九 条は自然とガッツポーズを取っていた。

「く、九 条さん?」
「それ、おめぇにやる。」
「え!!!こ、こんな高価な物、頂けません!!!」

まさか、突き返してくるとは予想していなかっただけに、九 条は意地になって刀を颯 樹の方へと押した。

「おめぇにやるって言ってるんだ。ありがたく、もらっておけ。」
「こんな高価な物、頂く理由がないもん!!」
「理由なんざ、どうでもいいんだよ。ともかく、俺からの土産だ、受け取れ。」
「受け取れません。」

断固として受け取らない颯 樹。
その目は、何故か怒っている。
さんざん悩んで、どうして怒られなければいけないのか。
九 条もだんだんとイライラしてきて、引っ込みが着かなくなっていた。

「受け取れ!副将命令だ!!」
「そんなくだらないことで、命令しないで!ばからしい。」

ばからしい・・・くだらない・・・。
颯 樹の言葉で、九 条は立ち上がった。

「ああ、そうかよ!!!じゃ、これは用無しだ!!!」

そう言うと、障子を勢い良く開け放つと、刀を放り投げた。
刀は流線を描きながら、堀の外へと飛んで行ってしまった。

「あ!なんて事するの!!!」
「てめぇが受け取らねぇなら、無用の長物だ。」
「だからって、捨てるならせめてゴミ箱に捨てなさいよね!!!」

捨てるなら、ゴミ箱。
九 条は怒りは、ピークに達した。

「もういい!!」
「九 条さん!」
「しばらくてめぇの顔なんざ、見たくねぇ!俺の前に現れるな。」

それだけ言うと、九 条は部屋を出て行ってしまった。
いつもなら九 条を呼び止める颯 樹も、目に涙を溜めて、泣くまいとするので精一杯で、声をかけられる余裕などなかった。
ギュっと握った両手が、白くなる。
着物にポタポタ…と涙が零れ落ちた。
慌てて颯 樹は涙を拭うと、報告書を胸に抱き抱えて、九 条の部屋を出た。
ご丁寧に、部屋に主がいなくてもちゃんと一礼して出て行く、礼儀の徹底ぶり。
一つめの角を曲がった所で様子を伺っていた九 条は、その場に深いため息をつきながら座り込んでしまった。
颯 樹の喜ぶ顔が見たいと思った。
それだけなのに、なんでこんな喧嘩になる?
ふと気配を感じて、顔をあげると頭にたんこぶができている甲 賀がムスーっとした顔して刀を九 条に突き出して立っていた。

「瞬、そのたんこぶ、どうしたんだよ。」
「知らないよ!いきなり空から降ってくるし、颯 樹ちゃんは泣いて出て行っちゃうし。」
「颯 樹が!?」
「サガさんが追いかけて行った。今はサガさんに任せた方が良いって。」

なんで、こうなっちまうんだろうか。
はぁ。
女を堕とすなんて、朝飯前だと思っていた。
だが、考えてみればそれはいつも花街だったり、町娘だったりで、颯 樹とは完全に系統が違う女達だ。
颯 樹は、何をすれば喜ぶのかさえ、思いつかない。

「恋仲失格だな。」

自嘲気味に笑うと、甲 賀は鞘から刀を抜いて刃を九 条の首筋へとあてた。

「随分な言いようだよね。それってさ、僕達の事をバカにしてるよね。」
「別にしてねぇだろ。」
「してるよ。みんながどんなに反対しても、どんなに口説いても、彼女の意志は揺るがなかった。常に九 条さんにだけ向いていた。僕達は、負けたと思ったから祝福していたのに。」

された覚えなどない。
数多くの嫌がらせなら、すぐに言えるのだが。

「それに、女の子にこんな物騒な物渡して。もっと人を斬れって事?」
「違う。」
「はぁ…彼女は、刀に関してだけは、絶対に受け取らないよ。貰った相手からの魂が入ってるから、もしも戦闘で折ってしまったら、と思うと力が出せないからって。僕も、さんざん断られたんだよね。」

はい?
俺は瞬と同じ事を考えて渡したと言うのか?
九 条は、苦笑しながら甲 賀の事を見た。
甲 賀もチラリと笑みは見せる物の、辛そうにその刀を見ていた。

「これってさ、坂の下の鍛冶屋でしょ?」
「ああ。珍しく良い物が出ていたからな。」
「そりゃそうでしょう。これ、僕が一度颯 樹ちゃんに送った物だもの。使い道がなくなったから、作ってくれた所に返しに行ったんだよね。まさか、九 条さんがそれをまた買って来るとは思わなかったけど。」

何してるんだよ、雪 桜 隊。
最期のトドメとも言える甲 賀の言葉で、九 条は頭を抱えた。

「結局、俺は颯 樹の事を何も知っちゃいねぇって事だ。あいつの好みすらわからねぇ。」
「そう?誰にでも分かる簡単な事だと思うけど?」

甲 賀は刃を収めると、くるりと鞘を回して九 条へと柄の方を向けた。
九 条は自然とその刀を手に取った。

「九 条さんの一番欲しいものと、彼女の一番欲しいもの。同じとは言わないけど、凄く近いものだと思うよ。まぁ、九 条さんの方が男だから、それ以上を望んでしまうのかもしれないけど。」
「俺の…欲しい物?」

そんなのきまってる。
颯 樹が元気で笑顔でいてくれること。
いつも側にいてくれることだ。
そしてふと相 模の言葉を思い出した。

最近、一緒にいても話しもできねぇって、悩んでた。

自分も同じだった。
颯 樹の姿は視界には入るのだが、話す余裕などなかった。
ただ遠くから、仲間達と楽しそうに談笑しているのをみているだけだった。

「わかったんなら、玄関まで迎えに行ってあげれば?」
「いや、それよりも瞬。手伝え。」
「・・・はいはい。」

九 条のニヤリと何かを企む表情。
何にも縛られず、自由に生きていた義勇軍の時代の九 条の表情。
この顔を見れば、必ず勝てると確信出来た程に。
甲 賀は、九 条の後について行った。





「私の部屋!!!!」



だだだだだだだだ!!!!

「九 条さん!!私のへ・・・・」

パシーンと入室の許可もなく、開いた障子。
九 条は何事もないように、仕事をしてるふりをしていた。
よく見ると、九 条の仕事部屋の奥にある、もう一つの部屋。
そこに、颯 樹の荷物やら備品が置かれていた。

「なんで、私の荷物がここに?」
「俺とお前の願望を叶えるには、これが一番いいだろう?部屋は別々だから、問題はねぇ。」

九 条は立ち上がると、仕事部屋と颯 樹の部屋の間の障子を閉めた。
つまり。
どこに行くにも、九 条の部屋を横切らないと行けない。
そして、颯 樹の部屋に行くのにも、九 条の部屋を通らないといけない。
全員が九 条の独占欲に青ざめた瞬間だった。

「これなら、いつでも話しが聞ける。」
「いかがわしい事も出来ちゃうって?」

甲 賀の横やりで、颯 樹の部屋の横側から、紀 伊が顔を出した。

「心配無用。隣は私の部屋だ。」
「あーなら、さすがの副将もいかがわしい事とか出来ないね。結局、自分の首を自分で絞める結果にしたんだ。」
「うるせぇ。」

九 条は颯 樹の腕を引っ張った。

「これからは、ここがお前の部屋だ。大和さんの了承も得ている。いいな?」
「はい!」

これ以上ない程に嬉しそうな颯 樹の笑顔。
それを見てしまえば、誰も文句など言えるはずもなく。
颯 樹は全員に「ありがとうございます!」と深く頭を下げた。

「それじゃ、これ。餞別。」

甲 賀がポンと投げて颯 樹によこしたのは、あの刀。
颯 樹は、驚いて甲 賀の事を見て、九 条の事を見た。

「これはみんなからの餞別。僕達なら、死んでもそんな部屋には入りたくないからね。」
「ある意味、牢獄だと思わねぇ?サガさん。」
「・・・あ・・・ああ。伊 勢、何かあればいつでも行って来いよ。」
「あ、俺も俺も♪」

大 助と相 模の言葉に九 条の眉間に一筋の皺が。
颯 樹は、大事そうに刀を握り絞めた。

「みなさんからの。」
「そ。だから、颯 樹ちゃんが心配する事なんてないでしょ?」
「はい!大切にします。ありがとうございます、九 条さん。甲 賀さん。」
「どう致しまして。」

やっと主の元に行った刀。
紀 伊は其れを見ながら、ポツリと呟いた。

「確かしかに、甲 賀君の言う通りになりましたね。人が刀を選ぶのではなく、刀が人を選ぶと言うのは、本当なんですね。」
「どうした、紀 伊っさん。」

九 条は、腕組みしながら紀 伊の事見た。
紀 伊は曖昧な笑みを浮かべて、障子を閉めてしまった。


みんなからと言うのは、まんざら嘘でもない。

あの鍛冶屋に行った雪 桜 隊の隊長格は、一度はあの刀を手にしているのだから。
そして、事情を知り、結局あの鍛冶屋に戻していた。
甲 賀の言っていた。


『刀は人を選ぶ。この刀は、颯 樹ちゃんをもう選んでるから、あとは颯 樹ちゃんがみつけるだけだ。』



と。







 

後書き 〜 言い訳 〜
 
ここまで読んでくださり
心より深くお礼申し上げます。


文章表現・誤字脱字などございましたら
深くお詫び申し上げます。
 

掲載日  2011.02.08
再掲載 2012.02.02
イリュジオン


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※こちら記載されております内容は、全てフィクションです。